アレとかコレで美肌になれるってホントですか?
毛穴ブロガー櫻田こずえが、巷に溢れる「美容都市伝説」のウソ・ホントに翻弄されながら、医学博士の高岡先生から美容皮膚科学を学ぶシリーズです。
#この記事は、2014年に別のブログに掲載したものを、高岡先生の許可を頂いて本ブログに統合したものです。
#皆さまに改めて読んで頂きたく、新しい記事に書き直しさせて頂きました。

でもね、先生。
やっぱり「植物性」って、肌にやさしそうという感じがしちゃうんです。
植物性のシャンプーで優しく洗いましょう!なんて言われると、うんうんそうだよねって。
だって、植物由来の方が、石油由来より、やっぱり肌に良さそうだと思っちゃう・・
#写真はイメージです。

身の回りには漆のように肌がかぶれる植物があることは皆さんご存じですね。
また、小麦や蕎麦など多くの植物性の食品にアレルギーが知られています。

うーん、それもよく聞くし、理解するんですけど・・・。
説得力がないというか、訴えてこないんですよ。
なんて言うんでしょう、次元が違うというか・・。
感覚的で直感的な好感・嫌悪になっているので、理屈じゃない感じで・・・。

トリカブトは確かに毒だけど、そういう話をしてるんじゃない!
みたいな気分って感じでしょうか。
だって植物の方が石油より優しいじゃないですか!っていう、はい、専門家から見たら目がテンな発想が自然にできてしまう・・なんででしょう?

頭の片隅では、植物性=安全というわけではないことは知っているのはずなのですが、
なぜか漠然と植物性と聞くと安心というイメージをもってしまうんですね。

そうそう、そうなんですよ!理屈では分かってるつもりでも、ほんと、
良く分からないけどなんとなくそう思っちゃう・・
それも、ポストは赤い!太陽は東からのぼる!位の当たり前さで!

このようなイメージを多くの方がもっているのには、化粧品メーカーの責任も少なくありません。
植物性や天然由来がどれほどお肌にやさしいかを徹底的に消費者にすりこみ、その反対に化学合成や石油由来がどれほどお肌に悪いかをネガティブキャンペーンしてきた自然派の化粧品メーカーがどれほど多いことでしょう。

そして、それにつられて購入している人(櫻田)のなんと多いことか!

今回は、化粧品の中での植物性の成分と合成成分について整理して、どのようにこれらの成分とつきあっていけばよいのかを議論してみましょう。

今こそ、39年間刷り込まれ続けた「植物&天然神話」を、根本から正したいです!
#と言いながら、やっぱ無理だろ、だって植物成分の方が肌に優しいに決まってるもん・・・と思っている自分もいる・・・。
化学物質,化学合成物質という言葉をきちんと説明できますか?
化学物質定義1. 世の中にある物質すべては化学物質といえる
化学物質という言葉には広く様々な意味で使われています。
最も広い意味では、世界中にある物質すべてが化学式で表される、という意味で、化学物質に含まれます。
それには天然物質も化学合成した物質もすべて含まれます。
例えば水はH2O、酸素はO2、食塩(塩化ナトリウム)はNaCl、ブドウ糖はC6H12O6といった具合に、天然物でも化学式で表されるので化学物質です。
化学物質定義2. 化学物質=化学合成された物質
もう少し狭い意味で使われる場合は、「化学合成された物質」という意味で使われます。
こちらが一般的に使われる、化学物質の定義ですね。
化学合成というと天然に存在しない物質であると勘違いされがちですが、天然に存在する物質でも化学的に合成できるものも多数あります。
天然物から抽出して精製するとコストが高くついたり、精製が十分にできない場合、化学的に合成することで安価に、そして純度が高く作れる場合があります。
そのような場合には天然物より化学合成したものの方が安全性が高いこともあるわけです。
勘違い:化学合成=石油が原料?
一方、化学合成というと、石油を原料にしていると思われがちですが、そうとは限りません。
植物由来の物質や天然鉱石を出発原料として化学合成される物質も数多くあります。
例えば合成界面活性剤の中には、植物由来の脂肪酸と、同じく植物由来のアミノ酸を化学的に結合させたものがあります。
これは化学合成されたアシルアミノ酸系の界面活性剤ですが、その原料は植物性ということになります。
化学合成した成分
—- 石油由来成分を原料
—- 植物由来成分を原料
—- 鉱石由来成分を原料
・・・・
有機物の場合は化学合成する原料として石油を用いると安価に、そして簡単に化学合成できる場合が多いのでよく用いられています。
石油というとドロドロとした黒い液体というようにイメージが悪いのですが、
実際には石油の中には様々な炭化水素という物質が存在しており、その中から精製した炭化水素を出発原料としているので、純度も高く、安全性の高いものが多数あります。
質問 1 油焼け・化粧焼け

昔、石油由来の成分の入った化粧品で、「油焼け」「化粧焼け」というものが起こったという話を聞きます。
今でもそれを心配する人がいたり、それを煽っている情報を見かけますが・・・
> 太陽光の紫外線や熱などが、油を酸化させ色素沈着を起こす
不純物が多い昔の石油由来製品から起きた、という解釈で良いのでしょうか?
現在は起きないんですよね?
また、油焼けというと、鉱物由来、石油由来成分を想定しがちですが、ホホバオイルやオリーブオイルなど、植物性のオイル=油でも同じように、油焼けが発生する可能性はあるんですか?

石油由来の化学物質というと聞こえは悪いのですが、実際には全く忌み嫌う必要のないものなのです。
化粧品で使用される鉱物油には、パラフィン類、イソパラフィン類、ミネラルオイル、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどがあり、液体のもの、半固体のもの、固体のものなどがあります。
いずれも石油由来の炭化水素が主成分です。
石油の中には紫外線を吸収する芳香族化合物や硫黄化合物などが微量存在しており、この不純物が皮膚に色素沈着などの悪影響を与えます。
鉱物油は酸化されにくいものですし、現在の精製技術では、不純物が限りなく除かれているので色素沈着や炎症などのトラブルの心配はありません。
特に医薬品で使用されるようなワセリンは全く安全で、心配はいりません。
植物オイルも、化粧品で使用されているグレードのものはかなり精製されているので、心配はないと思います。
ただ酸化されやすいオイルもあるので、そういったものは注意が必要ですね。
一般的に食品に使われているような(おいしい)オイルは酸化されやすいです。
また、光毒性のあるような不純物が含まれているオイルも要注意です。
たとえば柑橘系のオイル(レモンオイルやベルガモットオイルなど)には、フロクマリンという光毒性のある物質が含まれているので、お肌に塗る場合にはフロクマリンの除去されたものを使用する必要があります。
食用のオリーブオイルやグレープシードオイルなどのオイルをお肌に塗る方がいらっしゃいますが、化粧品用と異なり、精製度が低く不純物が多いため(だから美味しいのですが)絶対にやめたほうが良いと思います。

口に入れても大丈夫!って聞くと安全そうに聞こえちゃうんですけどね。
今日の講義まとめ
化学物質、化学合成物質とは?
物質は
— 天然に存在する物質
— 化学的に合成して作った物質=化学物質
に分けられ、
化学物質はさらに、
— 天然に存在する物質を化学合成して作った物質
— 天然に存在しない物質を化学合成して作った物質
に分けることができる。
化学物質=石油由来?
そうとは限らないっ!
石油由来の化学物質、植物由来の化学物質、鉱石由来の化学物質・・・沢山あります。
油焼けって今でも起こるの?
化粧品グレードであれば、鉱物油でも植物油でも、現在の精製技術ではまず起こらない。
(フロクマリンなど光毒性のある物質には注意)
食用等ではなく、化粧品として精製されたものを使用することが大切。
植物由来VS石油由来~それでも植物性神話を信じますか?シリーズ全4記事
1) 化学物質って何?(本記事)
2)鉱物油/天然VS合成
3)漢方薬なら大丈夫?
4)オーガニックは何にやさしい?
この記事について
この記事は、2014年に別のブログに掲載したものを、高岡先生の許可を頂いて本ブログに統合したものです。
皆さまに改めて読んで頂きたく、新しい記事に書き直しさせて頂きました。
髙岡先生
元アトピーの櫻田の敏感肌がお世話になっている、セラミド美容液の「シェルシュール」を生み出された医学博士で、DSRの経営者でいらっしゃいます。
高岡幸二:DSR代表取締役, 大阪府出身。神戸大学卒。医学博士。
元神戸大学バイオシグナル研究員、元奈良女子大学非常勤講師。
バイオテクノロジーの研究員、化粧品・健康食品の開発、化粧品原料の営業などを経験。
その過程で従来のスキンケアのあり方に疑問を感じ、皮膚のバリア修復に注目した新しい
スキンケア理論を開発。スキンケアで困っている方々に少しでも力になりたいと思い起業。
敏感肌のためのセラミド配合スキンケア:DSRオンラインショップーコンセプト
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