アレとかコレで美肌になれるってホントですか?
毛穴ブロガー櫻田こずえが、巷に溢れる「美容都市伝説」のウソ・ホントに翻弄されながら、医学博士の高岡先生から美容皮膚科学を学ぶシリーズです。
#この記事は、2014年に別のブログに掲載したものを、高岡先生の許可を頂いて本ブログに統合したものです。
#皆さまに改めて読んで頂きたく、新しい記事に書き直しさせて頂きました。

先生、じゃあ、植物性でもオーガニックだったら安心ですか?

櫻田さんはオーガニックって何のことだと思います?

何か、農薬とか一定基準値以下で、とにかく肌にやさしいんです、よね?

やはり皆さんそういったイメージをお持ちですよね。

わ、何そのしてやったりって感じっ!
でも悔しいけど、オーガニックって、裸の金髪美人が赤ちゃんにほおずりしてるイメージくらいしか思いつかないかもしれない・・・。
あと、真っ白じゃなくて、生成りな感じとか・・・すみませんごめんなさい。

オーガニックというのは、有機農法によって栽培した農作物のことですね。
有機農法というのは、農薬や無機肥料を使用せずに栽培する農法です。
このことについて多くの方はきちんと認識していると思います。

がーん・・・。それすらあいまいでした・・・すみませんごめんなさい。

しかし有機農法が人の体に良いというイメージをもっている方がほとんどで、本当の意味を理解している方は非常に少ないのではないかと思います。

え?有機農法は身体に良いんじゃないんですか?だって安全ですよね?
オーガニック・有機農法は何にやさしいの?
有機農法は本来、地球にやさしい農法です。
農薬や無機肥料のみを使用した農法は、土壌中の動物や微生物を減少させ土地を痩せさせてしまいます。
自然環境への負荷が大きいことが問題でした。
そのため、農薬や無機肥料を使用せずに地球環境にやさしい農法として注目されたのが有機農法です。
決して人の体に良いとかいう人間本意な目線での話ではありません。
また、無機肥料が人に悪いわけではありません。
植物は本来、無機栄養といって、有機肥料を直接利用することができず、有機物が土壌中の動物や微生物によって分解されて無機物となり、はじめて植物が栄養として利用できます。
無機肥料は植物が利用できる無機物を直接与えるため、直接的で即効性があります。
しかし、その反面、土壌中の動物や微生物の栄養とはならないため、土地がどんどん痩せていき、土壌の生態系に負荷を与えてしまいます。
そのため有機肥料を用いた農法のほうが地球環境にやさしいと言われます。
したがって出来上がった農作物の人への安全性は変わりません。

正直びっくりです。。。
ただし、無機肥料だけで育った農作物に比べると、有機肥料で育った農作物のほうが、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富で、健康的ではないかと思います。
そういう意味では確かに人の体にやさしいかもしれませんね。
硝酸態窒素という言葉を聞いたことはありますか?
窒素、リン酸、カリは植物の3大栄養素と言われています。
その窒素の肥料として硝酸アンモニウム(硝安)や硝酸カリウムなどの無機肥料があります。
この硝酸が硝酸態窒素といって、人の体に有害だという人たちがいます。
しかし植物はこの硝酸態窒素でなければ利用できないのです。
有機肥料を使用しても、結局有機物の窒素は土壌中で分解されて硝酸態窒素になってはじめて植物に利用されるのです。
ですから有機、無機に関係なく植物の中には硝酸態窒素が存在しますし、通常は植物に吸収された硝酸態窒素はすみやかにアミノ酸や核酸などの有機物に変換されていきます。
人の体に影響を与えるほどの硝酸態窒素が植物体内に存在するのであれば、植物にも悪影響が出ているはずです。
※ちなみに余談ですが、学生時代に私が大学院修士課程で在籍していた研究室は「植物栄養学(肥料学のことです)」といってまさにこういうことが専門でした。
無農薬農法ならもっと安全?
一方、農薬を使用しないことも有機農法の特徴です。
その意味では確かに人の健康に良いのかもしれません。
しかし、農作物には厳しい残留農薬の基準があるので、それほど農作物に健康を害するだけの農薬が残留していることはありませんし、化粧品に使用される植物エキスはごく微量ですから、あまり差はないのかもしれません。
また、植物体内では細菌などの感染から身を守るためにファイトアレキシンという物質が作られます。
農薬を使わないことで、逆に植物体内にファイトアレキシンが多く産生されるという話もあります。
そのファイトアレキシンが人へどのような影響を与えるかはわかりませんが、一部では人への毒性やアレルギー性が高まるなどの話もあり、どちらが良いかは明確にはできない部分もあります。

なんでもほどほどがいいですね、ほどほどが・・・。
どうして「オーガニック=人の体にやさしい」というイメージが広まったの?
欧米では、オーガニックは地球にやさしいという認識が広まっていると聞きます。
しかし、日本では人にやさしいというイメージで広まってしまったといいます。
推測ですが、オーガニックの農作物には手間ひまがかかり、高価になってしまいがちです。
そのため、オーガニック農作物を売るためには、そういったイメージ作りが必要だったのかもしれません。

何だか、とっても残念な気分です・・。
裏切られたようなこの気持ち・・・。
オーガニック化粧品をイメージで選ばない
また、オーガニック化粧品にしても同様で、オーガニックの意義を正確に伝えているメーカーもあれば、合成品や化学物質を悪者にしてネガティブキャンペーンをすることで販売数を増やしているメーカーもあります。
たいていは、界面活性剤や合成ポリマーなどについて、科学的根拠のないままに悪者にした論理を展開しています。
私は、そういったネガティブキャンペーンを行うメーカーは信用できないのではないかと思います。
そういうメーカーの製品にも疑いの目を向けてしまいます。
しかし、逆にオーガニックの素晴らしさをきちんと正確に伝えているメーカーは素晴らしいと思います。
地球環境やエコロジーなどに関心のある方のライフスタイルとして、とっても立派なポリシーだと思いますので、そういうメーカーを選んでお使いいただけると良いなと思います。
結局は、自分のお肌に合った化粧品を選ぶことが大切です。
自然なイメージや肌に優しいイメージだけで選んでしまうと、肌に合わずにトラブルを起こしがちです。
そういった方からのご相談も数多く寄せられます。
ぜひイメージに惑わされずに、しっかりと自分に合った化粧品をお選びいただきたいと思います。
また、そのために私たちもできる限りのご協力、つまりは情報のご提供が必要だと感じています。

オーガニックだから肌に優しそう、そういう単純なイメージ判断はNGですね!
今日の講義まとめ
オーガニック・有機農法は何にやさしいの?
人間にというより、本来、地球にやさしい農法です。
また、無機肥料が人に悪いわけではありません。
オーガニック化粧品の選び方
オーガニックは地球環境やライフスタイルとして関心の高いかたにおすすめです。
しかしイメージに惑わされずに、結局は自分のお肌に合うかどうかをしっかり見極めて、化粧品はお選びいただくのが大切です。
植物由来VS石油由来~それでも植物性神話を信じますか?シリーズ全4記事
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2)鉱物油/天然VS合成
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この記事について
この記事は、2014年に別のブログに掲載したものを、高岡先生の許可を頂いて本ブログに統合したものです。
皆さまに改めて読んで頂きたく、新しい記事に書き直しさせて頂きました。
髙岡先生
元アトピーの櫻田の敏感肌がお世話になっている、セラミド美容液の「シェルシュール」を生み出された医学博士で、DSRの経営者でいらっしゃいます。
高岡幸二:DSR代表取締役, 大阪府出身。神戸大学卒。医学博士。
元神戸大学バイオシグナル研究員、元奈良女子大学非常勤講師。
バイオテクノロジーの研究員、化粧品・健康食品の開発、化粧品原料の営業などを経験。
その過程で従来のスキンケアのあり方に疑問を感じ、皮膚のバリア修復に注目した新しい
スキンケア理論を開発。スキンケアで困っている方々に少しでも力になりたいと思い起業。
敏感肌のためのセラミド配合スキンケア:DSRオンラインショップーコンセプト
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